人類は長い歴史の中で、死亡率という大きな課題に直面してきました。これは多くの人にとって恐怖や不安の対象であり、克服すべき挑戦でもあります。
私はできるだけ長く健康を維持するために、現在2つの薬を服用しています。また、今後の健康維持のために、服用を検討している薬もいくつかあります。
本記事では、それぞれの薬について詳しく説明するとともに、その科学的根拠もご紹介します。そして、皆さんが服用を検討すべきかどうかについても一緒に考えていきたいと思います。
ただし、私が服用している薬がすべての人に適しているとは限りません。人それぞれ体質や健康状態、目標は異なります。
本記事でご紹介する薬のメリットに興味を持たれた方は、医師や薬剤師などに相談したうえで、自分にとって最適な選択をするようにしてください。
1.フィナステライド(Finasteride)
フィナステライドは、私が過去3〜4年間、1mgの用量で服用している薬です。その理由は、前立腺がんの予防と脱毛対策のためです。
前立腺がんは、世界中の男性の死因の一つであり、男性が診断される癌の中では2番目に多い病気です。世界的な死因としても5番目に位置しており、多くの場合、無症状のまま進行するため、発見が遅れることも少なくありません(なお、最も多く診断される癌は肺癌です)。簡単に治療できる段階を過ぎてから見つかるケースが多いため、早期発見が非常に重要です。一般的には45〜50歳から定期検診が推奨されており、早期発見によって生存率が大きく上がることが分かっています。
フィナステライドは、体内でテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変わるのを抑える働きがあります。DHTは思春期の男性にとって重要なホルモンで、性的な成長や前立腺の発達、体毛の増加などを助ける役割を持っています。
一方、成人男性にとってDHTは、男性型脱毛を進行させたり、前立腺を肥大させたりするなど、悪影響を及ぼすことが知られています。そのため、DHTの量を抑えることで前立腺の肥大を防ぎ、結果として前立腺がんのリスクを下げる可能性があると考えられているのです。
2003年には、「前立腺がん予防試験」という大規模な研究が実施されました。約19,000人の男性が参加し、フィナステライド5mgを服用したグループと、プラセボ(偽薬)を服用したグループを比較したところ、7年後に前立腺がんと診断された割合は、フィナステライドを服用したグループの方が24.8%低いことが分かりました。具体的には、フィナステライドを服用したグループでは4,368人中803人、対照グループでは4,692人中1,147人が前立腺がんと診断されています。
この研究は、その後も最大18年間にわたって追跡調査が行われました。その結果、フィナステライドを服用したグループは、対照グループに比べて前立腺がんと診断される割合が約30%減少することが確認されました。このことから、フィナステライドには前立腺がんの予防効果があると考えられています。
また、フィナステライドには、DHTを抑制することで遺伝的な脱毛を防ぐ効果も期待されています。特に、脱毛の家族歴がある男性にとっては、抜け毛の進行を遅らせる効果が認められています。一方、女性への使用は禁止されているため、その点は注意が必要です。
フィナステライドの副作用
ほぼすべての試験で、勃起不全や男性の乳房の肥大が2〜4%増加したと報告されています。さらに、こうした副作用はフィナステライドの服用を中断しても完全に消えないことがあり、この現象は「フィナステライド後症候群」と呼ばれています。
私は高リスク群には該当しないため、研究で使用された量より少ない1mgを服用することにしました。この量であれば、副作用のリスクを抑えつつ、予防効果を期待できると考えたからです。また、必要だと感じた場合には、あとから服用量を増やすことも可能だと思っています。
2.ロスバスタチン(Rosuvastatin)
私が服用している2つ目の薬は、ロスバスタチン2.5mgです。服用を始めて1年以上が経ちますが、ごく少量の用量を使用しています。一般的に、この薬の最大用量は40mgとされています。
ただし、繰り返しになりますが、私がこの薬を服用しているからといって、皆さんも服用すべきとは限りません。薬を使用する際は必ず医師や薬剤師と相談し、自分の健康状態に合った選択をすることが大切です。
ロスバスタチンとは?
ロスバスタチンはスタチン薬の一種で、コレステロールを下げる効果がある薬です。特に、肝臓でコレステロールが合成されるのを抑える作用があります。
肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を持つ「LDL(低密度脂タンパク質)」が心臓病の発症に関与していることは、多くの研究結果が示しています。もちろん、心臓病を引き起こす唯一の原因ではありませんが、大きな影響を与える要因の一つであることは確かです。LDLと心臓病の関係は、さまざまな研究で繰り返し証明されています。
「PESA研究(Progression of Early Subclinical Atherosclerosis study)」は、心血管疾患のリスク要因と初期段階の動脈硬化の進行との関係を調べるために実施された研究です。この研究では、心臓病の他の危険因子を持たない人々の中から、LDLコレステロールの数値が高い人を特別に選び調査しました。その結果、LDLの数値が低い人は血管の詰まりがほとんど見られなかったのに対し、LDLの数値が高い人ほど血管の詰まりが多く発生していることが分かりました。
私は、LDLコレステロールを下げるメリットを考え、ロスバスタチンを服用しています。現在、大きな危険因子は特にないため、通常より少ない用量を選択しました。近年、LDLコレステロールをより積極的かつ早期に下げるべきだという考え方が広がっています。心血管疾患の予防に特化した学術誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・カーディオロジー(American Journal of Preventive Cardiology)」に掲載された論文では、心血管疾患のリスクをより早く、集中的に、かつ正確に治療する必要性が強調されています。これは、現在の治療方針の見直しと、より効果的なアプローチを求める重要な指摘となっています。
LDLを標的とした治療法の安全性
研究によると、LDLを標的とした治療は安全とされています。2023年のメタ分析では、同治療による追加のリスクは確認されませんでした。
コレステロールは体全体で必要とされる重要な成分ですが、研究によると、血液中のLDLを下げても脳などの臓器のコレステロール量は減らないことが分かっています。そのため、認知症など、認知機能への影響はないとされています。
ロースバスタチンの副作用
潜在的な懸念として、2つのリスクが指摘されています。
1つ目は、筋肉痛や筋力の低下です。メタ分析の結果、こうした副作用のリスクが確認されましたが、発生率は非常に低く、100人中1〜2人程度とされています。また、スタチンの服用量が少ないほど副作用のリスクや重症度が低くなるため、私は低用量を選びました。
2つ目のリスクは、糖尿病の発症です。研究でもこのリスクは確認されましたが、影響は小さいとされています。研究に参加した10,000人のうち、新たに2型糖尿病を発症したのは約50〜100人で、いずれもスタチンを40mgの高用量で服用していました。そのため、低用量で服用すれば、副作用のリスクをさらに抑えることが可能です。
私の場合、食事管理、運動、睡眠などの健康的な習慣をすべて取り入れても、LDLを目標とする60mg/dl未満まで下げることはできませんでした。しかし、1年間低用量のロスバスタチンを服用したことで、その目標を達成することができました。
数あるスタチンの中でロスバスタチンを選んだ理由は2つあります。1つ目は、価格が非常に安いこと。そして、2つ目のより重要な理由は、水溶性であるため、脂溶性スタチンのように体の不要な部分に蓄積しにくいことです。
まとめ
今のところ、健康的な食生活、十分な運動、質の良い睡眠を心がけながら、オプティマムビタミン、タンパク質、コラーゲンパウダーに加え、ロスバスタチンやフィナステライドを服用することで満足しています。
繰り返しになりますが、私がこれらの薬を選んだからといって、皆さんも服用すべきというわけではありません。大切なのは、科学的な根拠を理解し、自分自身の健康状態やリスクを考慮することです。薬を選ぶ際には必ず医師と相談し、自分にとって最適な選択をしてください。
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